日本の再エネ・ポテンシャル:風力だけで日本4つ分をまかなえる

(「原発と石炭火力ありきの”エネルギーミックス”」の続き)

本稿では日本の再生可能エネルギーポテンシャルについて、先のセミナーの内容(+α)に沿ってお伝えする。

資エネ庁による再エネの位置づけ

資源エネルギー庁自体、実は再生可能エネルギーを導入すると様々なメリットがあることを理解していることは、先にご紹介した「長期エネルギー需給見通し 関連資料(平成27年6月)」にも明記されている。以下、その部分(p.41)を引用する:

  • エネルギー自給率の向上に寄与し、環境適合性に優れる再エネは、各電源の個性に応じて最大限導入し、既存電源の置き換えを進めていく。地熱・水力・バイオマスは原子力を代替し、風力・太陽光は火力を代替する。
  • 2030年の電力コスト(燃料費+FIT買取費用+系統安定化費用)を現状より引き下げるという方針の下、現状の9.7兆円(2013年)よりも5%程度引き下げ、9.2兆円程度へ引き下げる中で、再エネを含めた電源構成を検討。さらに、そこから地熱、水力、バイオマスの導入が拡大した場合でも現状よりも2%程度引き下げ、9.5兆円程度へと抑え込む中で、再エネを含め他電源構成を検討。
  • 再エネの導入量については、省エネの推進、原発の再稼働により、電力コストを低減させた上で、まずは地熱・水力・バイオマスを物理的限界まで導入することで原子力を代替し、その後、再エネを含めた全体の電力コストが9.5兆円に達するまで自然変動再エネを可能な限り拡大することにより算定する。

また、「既存電源の置き換え」として、再エネの位置づけも示されている。
この位置付けに関しては、原発再稼働という点を除けば筆者もほとんど異存はない:

地熱・水力・バイオマス

自然条件によらず安定的な運用が可能であることから、原子力を置き換える。
立地面や燃料供給面での制約を踏まえつつ、実現可能な最大限まで導入。
こうした制約が克服された場合には、導入量は、さらに伸びる事が想定される。

風力・太陽光

自然条件によって出力が大きく変動し、調整電源としての火力を伴うため、原子力ではなく火力を置き換える。国民負担の抑制とのバランスを踏まえつつ、コスト負担が許容な範囲で最大限導入。

と、このように資エネ庁自体も、既存電源の火力や原子力を再エネによって置き換えることが可能なことを理解し、建て前ではこのように資料でも明記してあるのだ。

費用の負担についても、現在の固定価格買取制度を継続すると、再エネ電源の増加に伴って当面はFITの買取費用負担は確かに増えて行く。しかし、再エネ電源があまねく普及してしまった後には、火力や原子力のような燃料が不要となる。

こうなると、円安と天然ガスの輸入増加で貿易赤字となっているような現状も大きく改善することができるし、15年なり20年といった買取期間の終了後にはその買取費用も無くなるため、後に残るのは燃料代がほとんどタダの再エネと一部の火力など(バイオマスが拡大すれば、火力もすべて置き換えが可能になる可能性はある)になるだろう。

電力コストの推移(イメージ)
(出典:資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通し 関連資料(平成27年6月)」)

実は、このような再エネ主体の政策を取り、一時は電気代が高いと言われたものの、再エネの買取費用が減少し、電気代も下落し始めた国がある。それは、ドイツである(ドイツの現状については、また別途改めてお伝えしたい)。

日本の再生可能エネルギーのポテンシャル

今回も前置きが長くなってしまったが、日本の再エネ・キャパシティ、ポテンシャルを示す。

環境省が平成23年と平成24年に行った再生可能エネルギーのポテンシャル(潜在力)調査によると、風力発電では23年のデータで3.8兆kWh(出力ベースでは、19億kW。陸上+洋上)。24年の調査では、経済性や野鳥保護、景観、周辺住民への影響などに配慮した結果として、8000億kWh(≒4億kW=2000kW風車で20万基)。

これは、23年のポテンシャルだけを見ると、日本の電力需要の約4倍、つまり日本が4個分の電力を風力(陸上+洋上)だけでまかなえるだけのエネルギーである。ただ、このままでは、経済性や周辺住民への影響などから現実的ではない。

ということで、それらを考慮して算出したのが24年のポテンシャルだが、それでも、風力だけで日本の総電力需要の大半がまかなえる計算だ。

現実には、既に太陽光が相当に普及しているし、太陽光ほどの勢いはないとはいえ小水力やバイオマスもかなり伸びているので、それらも合わせるといずれにしても再生可能エネルギーだけで日本の電力需要をまかなうことは現実問題として十分可能なことが分かる。

ちなみに、米スタンフォード大の土木環境工学教授で大気・エネルギープログラムのディレクターであるMark Z. Jacobson氏のチームは、日本の2050年におけるエネルギーミックスを再エネ100%でどのようにすれば実現できるかを予測している(下図)。

再エネ100%のエネルギーミックス(Mark Z. Jacobson氏らのグループによる)
(出典:CleanTechnica “How The US, UK, Canada, Japan, France, Germany, & Italy Can Each Go 100% Renewable“)

これは同チームが全米50州に関して同様に再エネ100%をどう各州が実現できるかを研究調査した手法を世界の主要7カ国(G7)に対しても適用した結果。

その研究の結果によるとご覧の通りだが、次のようなエネルギーミックスとなっている:

  • 住宅用太陽光(屋根上設置) 8%
  • 事業用太陽光(屋根上設置) 13%
  • 産業用太陽光(野立て) 41.5%
  • 集光型太陽光(CSP) 2%
  • 陸上風力 20%
  • 洋上風力 8%
  • 波力 1%
  • 地熱 1.8%
  • 水力 4.55%
  • 潮汐 0.2%

産業用の野立てと住宅や事業所の屋根上の太陽光の合計で電力需要の約60%をまかなうという計算になっており、G7の他の国と比べると、太陽光の割合がかなり高い。

個人的には、現在既に1割ほどある水力を減らす必要性は感じないし、せっかく世界第3のポテンシャルを持つ地熱をもう少し利用したい感じである(地域的に偏在していることは確かだが)。

さらに、このようなエネルギーミックスを採用した場合、2050年までに発電所の運用で93万5000件、建築や設置の工事で116万件の雇用が創出されると予測している。

ここでは燃料の調達が必要なバイオマスが対象となっていないが、それも含めるとさらに雇用面でプラスとなることは間違いないだろう。

まとめ

以上、日本において再生可能エネルギー100%のエネルギーミックスが、十分に実現可能であることをいくつかの文献や資料も確認しつつまとめてみた。

資エネ庁のエネルギーミックスと需給見通しは本当に酷いが、太陽光を含む再生可能エネルギー導入は、今では中国やインドといった新興国も巻き込んだグローバルなトレンドである。

原子力ムラや電事連が自分達の私利私欲のために日本のエネルギー行政でのさばり続ける限り、この国は世界から後れを取り、エネルギー分野でも「ガラパゴス化」が進む。

この国の将来のため、我々のこども達やその子供達のために、そんな状況にしてはいけないと思うので、このブログでは世界の再エネに関する最新状況もどしどしご紹介したいし、日本の再エネの可能性についても可能な限りお伝えするつもりである。

ここまで、かなり前置きが長くなってしまったが、再エネ潰し、新電力潰しの核心にいよいよ触れていきたい。

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(続く)

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