太陽光受け入れに蓄電池、補正予算で500億円+!

再エネ受け入れの問題で、経済産業省がついに動いた。

具体的には、再エネ受け入れに伴って対策が必要となる系統安定化に効果を発揮する蓄電池の導入を推進するための施策である。今(2014)年度の補正予算案で500億円超を計上する方向で調整中という。

Yahoo!ニュース – 太陽光受け入れ拡大の緊急対策…蓄電池に補助金

(このニュースを報じているのが、代表的な原発推進側メディアのY新聞であるところが腑に落ちない気もするが、まぁそれは置いておこう。)

これは、太陽光や風力の普及拡大に対してかなり大きなインパクトをもたらす可能性がある。これまで、太陽光や風力は、その特性から何かにつけてすぐに「不安定」だの、お天気任せだのと邪魔者扱いされてきたが、蓄電池と組み合わせればその欠点をほぼカバーできるからである。

この500億円+という補助金の規模が、蓄電池の容量に換算するとどの程度かを考えてみよう。

現在、定置型蓄電池の普及推進で最も期待されていると思われるリチウムイオン電池で試算してみる。

系統網と言う観点では、従来はリチウムイオンよりも日本ガイシが東京電力と共同開発したナトリウム硫黄(NaS)電池の方がより多く採用されてきた経緯があるのだが、低圧連係の太陽光や風力発電では、恐らくコストや規模、運用面で見合わないのではないかと感じている。

運用面でもっとも大きな課題は、NaS電池の作動温度域が300℃とかなり高く、昼間はともかく夜間にもその温度を維持するためにエネルギー(≒電力)を消費する点だ。

リチウムイオンであれば、電気自動車(EV)などクルマに積むくらいで、常温で動作し加熱する必要も一般的にはないので、低圧に適していると考える。(ただし、採用する極材にもよるものの、リチウムイオン電池は低温や高温の環境下では劣化が早まるので、何らかの温度制御を行い常温で動作させることが望ましい。)

さて、試算・換算に戻る。

定置型蓄電池のコストを考える上では、EVのリチウムイオン電池のコストが一つの基準になる。そこで、現在市販の代表的なEVである日産自動車の「リーフ」の電池コストを基準としてみよう。

日産自動車のEV「リーフ」のリチウムイオン電池パック(24kWh)

現在、リーフの最廉価バージョンは約288万円で、リチウムイオン電池パックの容量は24kWh。少々乱暴だが、EV自体の価格÷2≒電池価格とみなしてkWh単価を求めると、

(2,880,000円/2)÷24kW=6万円/kWh

となる。EVは長距離走れないとか、充電時間が長いとかボロクソ言われつつも、ガソリン車より経済的だ、静かで快適、といった利点から少しずつ普及の兆しも見えつつあり、徐々にだが売上が伸びている。街中で見かけることも増えたと感じる。

なので、この6万円/kWhと言うコスト感はかなり信ぴょう性があると思う。ちなみに、民生用の18650型(ノートPCなどで使われる円筒形の)リチウムイオン電池だと、そのkWh単価は現在2万円/kWhあるいは20円/Whである。大型のEV用や定置型でも60円/kWhがその半分、1/3と低コスト化が進むことはほぼ間違いない。

500億円の補助金の額に対して、この6万円/kWhというリチウムイオン電池の単価を考える訳だが、今年度の始めに施行されたリチウムイオン電池の補助金と同様に今回も電池価格の2/3に補助金を充当できるとすれば、補助金によって購入が進むリチウムイオン電池の市場規模は総額で750億円となる。

したがって、その場合のリチウムイオン電池が作り出す電力量は、

750億円÷6万円/kWh=1,250,000kWh

となり、原発1基を1時間ちょっと動かすのと同じくらいの電力を蓄えることが可能となると言えそうである。(ここまで、あくまでも様々な前提・仮定に基づく試算なので、必ずしもこの数字が絶対に正しい訳ではないので、念のため。)

では筆者のような低圧連係50kWの発電所で蓄電池を導入するとしたら、どの程度が適切な容量になるのだろうか。

仮に1時間分の蓄電とすれば、50kWhの蓄電池。6万円/kWhのリチウムイオン電池がもし市販されれば、コストは300万円、その2/3が補助金で賄えれば、筆者の負担は100万円。

決して安い設備投資ではないが、このレベルで再エネの普及推進に貢献でき、脱原発が加速できるのであれば、導入しても良いかなとも思える。本ブログをご覧の読者諸兄はいかがだろうか。

スポンサーリンク

コメント

  1. 蛇野 より:

    私は、興味は大いにありますが、やはり価格次第ということになります。現状では導入はしません。
    なんらかのメリットでもないことには、おいそれと手を出しにくいです。
    売電期間の延長とか価格上乗せなどのインセンティブを期待します。

  2. bigfield より:

    蛇野様、

    コメントありがとうございます。確かに、価格次第ですね。

    100万円もする蓄電池を入れる経済合理性が無ければ入れる必要はないですし。

    ご教示のように、補助金だけでなく価格上乗せなど何らかのインセンティブがあると良いですよね。