野立て太陽光発電・施工体験会(その2)

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当方一人だけながら施工体験会に参加…

最近ロクに運動をしておらず身体が鈍っている当方としては、いきなり重いモノを持ったり運んだりというような肉体労働を行うと身体を壊す恐れもあると思い、今回は後者の見学主体で参加させて頂くことにしていた。

天気予報によれば曇りがちな天気と思われたが、実際に現地に行ってみるとほとんど晴天で8月の日差しはかなり強く、無理をしなくて良かったと思う。

太陽光発電ムラの会合(=飲み会w)等での参加者の集まり方など、これまでの経験から、この施工体験の方も多くの人が参加するのかと思ったが、予想外に今回は私一人だけ。

とはいえ、その分Kさんや他にこの施工に携わっている方とも色々と情報交換もでき、非常に有意義で価値のある体験だった。

自分で手を下す必要が無く、おカネだけを出してあとは施工業者にすべて任せるだけというスタイルもお金持ちの方なら可能だろう。

しかし、こちらは太陽光発電を個人年金や生活の糧として活用したいと考えている訳で、少しでも施工費用を浮かしてその分出来るだけ早く投下資金の回収を行う必要があるのだ。

パネルのコストはかなり下落し、固定価格での全量買取制度が実施される前であればkW当たりで50万円とも60万円とも言われていたのが、最近では最安だと中国製のパネルには5万円/kWなどという激安のソーラーモジュールまで登場していると聞く。

一方で、施工費用は草刈り、整地や杭打ちなどの土木工事とパネルの設置や接続などの電気工事に掛かる人件費、パネルを取り付ける架台や発電所の周囲を覆うフェンスの材料費…と、見落としていると後で「こんな筈では無かったのに…」と思うほど費用が嵩むのだ。

架台にもスクリュー杭やコンクリート基礎などいろいろある

だから、単に、パネルのkW単価と出力規模、それにパワーコンディショナの価格だけでしか考えていないと、投下資金と売電収入から求められる利回りや元を取るのに必要な年数(ペイバックタイム:PBT)等が全然異なってしまうのである。

そういったことも今回の施工体験会で改めて再認識させられた。
他にも色々と学べたことは多い。例えば架台を支える基礎の部分。

一口に太陽光パネルの架台と言っても、頑丈なコンクリートの基礎や、地面に打つ金属製の杭(くい)など様々なやり方がある。資金量に優る大手企業であればコストが最もかかるが強度や信頼性も最も高いコンクリート基礎とその上に組む架台が一般的だろう。

だが個人や中小企業では、コストがかさみ採算の面で厳しいため、地面への直の杭打ちとその上に組むアルミ架台を採用する場合が多いように思う。

その杭を地面に打ち込む作業も、単に上から叩いて打ち込むやり方やネジを切ってあるスクリュー杭を専用のアタッチメントを付けた重機で回転させながら埋め込んでいくやり方があるらしい。今回の施工ではそのスクリュー杭を採用していた。


参考:スクリュー杭の打ち込み作業例(この記事とは関係ありません)

案内して下さったKさんによると、この方が単に打ち込むより引張強度がはるかに高いため、台風や暴風などに対してずっと信頼性が高いのだという。

最近、この業界で話題となりつつあり、ネットなどでも良く広告を見かける中小規模からある「太陽光発電キット」等では杭にネジを切っておらず単に打ち込むだけではなかったか、それでは引っ張り強度面で問題があるのではないかというのがKさんの見解であり、印象に残った。

また、施工業者さんの進め方は、恐らく住宅やビルなどの施工に較べると随分大らかというか、結構適当な感じがしないでもなかった。

例えば、発電所の敷地内に立てるスクリュー杭だが、横から杭を眺めると、一直線上から微妙にズレていたりする。それは問題にならないのかと請負の施工業者の方にKさんが聞くと、後でロープで引っ張って位置を合わせるので問題は無いとの答。

ふ~ん、そんな程度の精度で良いんだ、と納得するような、もう少しきちんと位置を合わせて欲しいような、そんな気がした。大学を出て数年間だけだが、半導体集積回路の設計や開発に携わっていた経験がある当方からすると、相当に適当…と言えるレベルだ。

ただ、杭の高さはレーザー光を利用した水準器などにより比較的正確に合わせこんでいた。高さがズレているとパネルの取付の時に困るかららしい。

いずれにしても、既にあちこちで野立ての太陽光発電所を施工している業者さんがやっていることなのだから、これはこれで良いのかもしれない。

ただ、自分が保有する発電所では、もっと精度良くきちんとやって欲しいと思った。施工管理業者にお任せで現場にほとんど足を運ばない裕福なオーナーさんは、恐らく知る由も無いのだろうが。

太陽光発電所用地の造成や整地の仕方を学べた

また、Kさんと共に仕事をされている方(この方もイニシャルはKなので、ここではK2さんとしておくw)に伺ったところ、

いま作業しているこの発電所の土地も、以前はあんな感じでしたよ…

と小道を一本挟んだ向かい側の草茫々の場所を指し示して教えてくれた。

私が不動産屋のホームページなどで何度も見ていた「更地」なのに草木が茫々と生い茂っている物件などは、やはりそれらを刈り取ってブルドーザーなどで平らに均し、砂利などを敷き詰める作業を行い整地するということのようだ。

なるほどね、こうやって発電所の用地を造成する訳なのね

と納得。ま、この工程は太陽光発電も普通のビルや住宅も似たり寄ったりなのだろう。

と、現地で過ごした2~3時間はあっという間に過ぎていき、Kさんからそろそろ良いですかと促されたので、お暇することにした。

今回は太陽光パネルの納期遅れのため、架台の設置までしか見学できなかったが、実際に架台のねじ止めなどもほんの少しだけ手伝わせて頂いたりし、非常に学びの多い経験となった。

ちなみに、今度の金曜日には群馬県某所で別の太陽光発電所の設置工事を見学させて頂く予定が入りそうである(これも太陽光発電ムラ関係からのご縁により実現)。

太陽光発電所を自作したい、または自分でも多少なりとも手を下して作りたいとお考えの方は、こういう機会があれば是非積極的に参加されることをお奨めしたい。

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