海外レンタカー業者の”ぼったくり請求”トラブルを防ぐ方法

旅慣れているからと油断すると、足元をすくわれてトンデモないトラブルに巻き込まれる――。この一週間あまりの海外出張を終えて、筆者が感じたことだ。

一昨晩、ターキッシュエアライン52便で一応無事に帰国、昨日から通常通り仕事に復帰している。今回の出張ではツキが無かったのか、持参する充電器を誤ってスマホと二台持ちにしていたガラケーを壊したし、バイオマス・エネルギー関連の取材でギュッシングに行くためにウィーンで借りたレンタカーの業者にはもう少しで何百ユーロも余計に請求されるところだった。

ウィーンを始め海外でレンタカーを借りる日本人がどれ位いるか分からないのだが、筆者のように苦労や大変な思いをしなくて済むよう、筆者の失敗談と教訓を記しておくことにしたい。

(なお、レンタカーのボッタクリ請求対策をすぐ知りたい方は、記事の下の方「海外旅行のレンタカーは請求トラブルの巣窟:対策編」を直接ご覧下さい。)

ウィーンの「メガドライブ」は避けるが吉

ウィーンでレンタカーを借りる場合、「メガドライブ(Megadrive)」というレンタカー会社(米エンタープライズ・レンタカー系)はまず避ける方が無難である。

ウィーンのレンタカー会社「メガドライブ」

ウィーンのレンタカー会社「メガドライブ」

筆者は今回その会社で一台借りて半日ほど運転して特に事故なども起こさず返却したところ、フロントガラス(windshield)に2カ所傷が出来ている、という連絡が写真を添付したメールで来た。

(メールの本文(英語)を引用したいところだが、そのメールにはメガドライブ社の秘密事項であり他者に提供したり公開したりすることを禁ずるという但し書きがわざわざ末尾に付けられているため、直接の引用は差し控える。同社にも後ろめたい事をしているという自覚が一応あるのかもしれない。)

実は、この会社に良くない評判が数多くあることを、クルマを借りる日の朝早くにたまたまグーグルのクチ込み情報で知ったのだが、時すでに遅し。ウィーンから2時間弱かかる所で午前9時に取材の申し込みをしてしまっていたため、キャンセルして別の会社に変えたりする暇がなく、一抹の不安を感じつつも結局その業者からクルマを借りたのだった。

借り出しの際には、特に何の問題も無かった。これは、それらの批判的な口コミ情報でも最初は問題無かったとあったので、想定の範囲内である。

ウィーンからギュッシングまで行き、バイオマス発電プラントなどの取材や見学を終えて所定の返却時間にも余裕を持って帰路に着き、ガソリンもきちんと満タンにして無事に返却を済ませた。

その際、クチコミサイトではあまり評判が良くないこと、変な請求などは本当に来ないのか、等をレンタカー店舗のスタッフの女性に一応伝えた。すると彼女は、「旅行者には旅先での不満が色々あって、それをレンタカー会社にぶつける人が多いからだ。特に問題無ければ何も連絡は行かない、もし損傷があれば明日までに連絡する…」ともっともらしいことを言う。

筆者が、「分かりました。では、あなたを信頼して良いんですね?(Okay. Then can I or should I trust you?)」と念を押すと、自信たっぷりに「はい!(Yes!)」と応えるので、信頼できるかなと思い、一応その場では安心してホテルに戻ったのである。

ところが翌日、帰国便の出発まで暇を持て余した筆者がウィーンの街中をプラプラ彷徨っていると、現地時間の午後1時半過ぎ頃に次のような文面のメールがそのレンタカー業者から届いた:

件名:損害事件36**123**-W-20718D

大切なお客様へ、

11月6日にお借りになった車両、スズキ・スイフト(登録番号W-20718D)の件です。弊社のスタッフが新しい損傷(石が2カ所に当たった跡)をフロントガラスに発見したことを、弊社は貴方様にお伝えしなければなりません。

保安措置のため、損傷に気付いたあと直ちに写真が撮影されました。添付の写真をご確認下さい。

本件を完了するためには、この損傷がどのようにして起きたのか貴方様からご説明頂く必要があります。事故の相手はいますでしょうか?(筆者注:なんと白々しいw…)

最終的な請求書は、本件の確認後に郵送などでお送り致します。

以上、

S. A.
レンタカー 係員

筆者が借りたクルマの車種とナンバープレートの番号は事実の通り(ただ、文面を英語から日本語に翻訳し、車種と番号を全角で記してある)。

このメールを読み、「まさか!?」と相当に動揺した。既に読んでいた通り、事後の請求を行うための連絡が本当に来たからである。返却時に信頼してくれと言っていた女性のスタッフには、事故は起こしてないし、傷も何も付けてないよ、とあれほど訴えていたにも関わらずだ。

この日の晩にはウィーンから出発することになっていたとはいえ、空港に行く時間まではまだ3時間以上あった。そこで、取り急ぎ次のように手短にスマホから返信し、地下鉄でその店(U3のエーアトベルク【Erdberg】駅)まで行くことにした。

御社がおっしゃる損傷については何のことか全く分かりません。今からそちらに行きます。(I have no idea about the damage you mentioned. I will come to your office now. )

ということでその店に行ってみると、土曜日の営業時間は午後2時までと書いてあり、筆者が到着した午後3時過ぎには閉まっていて誰もおらず電気も消えていた。

一応ガラス戸をノックしてみたが、明らかに店内には誰もいない。この日これ以上彼らと接触して交渉なり説明なりをすることは断念し、今後どうすべきかをしばらくその場で冷静に考えた。

その間に、その店に来た人がいたりしたので、一応、客かどうか、筆者と同様に被害にあったのか、など尋ねてみたが、彼らは単にレンタカーを探していたらしいので、筆者の状況だけ説明して、ここでは借りない方が良いよ、とだけ伝えた。

その内、彼らが送りつけてきた写真をスマホで見ただけでは実際のところ損傷がどの程度なのかも良く分からないので、これはやはり自分でも車両をとにかく再確認しておくべきと思い至り、そのビルの地下にある駐車場(レンタカーもそこで保管されている)に行ってみることにした。

もしかすると、次の客に貸し出されていたり、あるいは修理やメンテナンスでどこか他の場所に移動されていたりしたかもしれない。だが、それはそれで仕方ない、とにかく現物をもう一度自分の目で確かめよう、と昨日筆者がスイフトを停めた場所に行ってみると、はたしてそのスイフトはそこに駐車されたままだった。

借出しの際にもらった返却場所を示す紙なども筆者が席に置いてきたまま。ただ、筆者が返却したときとは違う点があった――フロントガラスに二カ所ペンキか何かで丸印が書いてあったのである:

借りたレンタカーに新しく出来た?損傷

借りたレンタカーに新しく出来た?損傷

なるほど、これが彼らの言う損傷か…と、近づいて良く見てみた。「うーん、傷と言えば傷か。でも、そんな大騒ぎするほどでも無いような…?」というのが率直な実感である。

筆者の運転によりできた、とレンタカー会社が主張した損傷

筆者の運転によりできた、とレンタカー会社が主張した損傷

念のために、後で何か役に立つかもしれないと思い、この丸印も含めて撮った写真が上のものだ。

実は、このクルマを運転する前にも、写真を撮っていたのだが、車体やホイールキャップだけでフロントガラスは写真を撮り忘れていた。オレってなんて抜け作…といった所だが、過ぎた時間はもう戻らないので、この時点で可能な限り最善を尽くすという訳である。

ぼったくりレンタカー、餌食の大半は海外からの旅行者?

この時、筆者の近くに現地人と思しき白人の男性がいたので、先ほどの店舗前のときと同様に、メガドライブのクルマを借りたのか、何か問題は無かったかを尋ねてみたが、彼は「ここは何年も利用しているが、特に問題は無い。フロントガラスの傷は仕方がないんじゃないだろうか?」と店側に好意的な見解だった。(店とグルになっている関係者では多分ないと思うが…)

一つ考えられるのは、現地人や地元の人間に対しては、ボろうとしても警察や消費者センターみたいな所を通じてじっくりと正しく対応されると難しいので、そういった不正をしないのではということ。

旅行者、特に海外から来てレンタカーを借りる筆者のような客の場合、損傷を起こしていないと客観的に証明することが難しく、言葉の壁や滞在時間の問題などもあって諦めて泣き寝入りする客が多いことを彼らは経験上知っていて、もっぱらそういった客を「餌食」にしているのではと推測する。

実際、ネット上のクチコミでも英語での情報が多いことは、この店舗がドイツ語圏であるオーストリア・ウィーンにあることを考えると、やはり国外からウィーンに来て観光などでレンタカーを借りた人に被害者が多いことと符合するからだ。

さて、筆者の場合、その後どうしたかと言えば、帰国後に上述の筆者のメールの返信に対して、さらに日曜日の営業時間とその時間内なら来店して良い旨、質問があれば電話しても良い旨などを伝える短いメールが他の店員から来ていたので、それに対して返事を出すことにした。

いずれにしろ、彼らが要求するこちらの状況説明をし、こちらには非が無いことを明確に伝える必要があった。

海外旅行のレンタカーは請求トラブルの巣窟:対策編

ネットで色々と調べてみると、実はレンタカーを異国で借りることには、非常に多くのトラブルが付き物であることが分かる。特にウィーンでは、このメガ何とかと言う店は既に何年も前からこういう問題のある商売を行っている事も分かったし、被害者も筆者だけでは無かった。

また、こういったレンタカー関連のトラブル事例はウィーンだけでなく、ドイツや豪州、カナダなどでもあった。顧客に法外な事後請求をする会社もこの業者だけじゃなく、業界トップのHertz、それに米国系のBudgetなど、有名なブランドですら同様の請求トラブルが存在することもわかった。

そこで、ネットで学び効果的と考えられる、以下のような対応策をすべて盛り込んでメールで返信した:

  1. 在日オーストリア大使館に連絡を取ったこと、大使館が何らかの調査をするであろうこと
  2. レンタカー借り出しおよび返却時の音声録音データ写真も証拠として提供する方針
  3. 今回のレンタカーを予約する際に使用した斡旋サイトにも全ての証拠を提供する方針
  4. この記事にも挙げた、業者の問題が報告されているクチコミサイトのリンクを明示
  5. 筆者の仕事・勤務先が、報道関係であること
  6. 筆者が仕事で忙しく、お互いに利のある対応を期待している旨

1.のオーストリア大使館が本当に筆者のために調査をするかは、全然分からない(笑)。
少なくとも、フォームから連絡を送って一日は何の連絡も来なかった。この後も、無視されたままかもしれない。残念だが、あまり当てにしない方が良さそうだ。

2.の音声データや写真は、一応本当である。実際に、借出し時に車両の写真を何枚か撮ったし、レンタルオフィスでは録音もした。ただ、返却時は録音していなかったし、フロントガラスの写真も撮っていなかったが、そういった詳細は省いた。その意味ではブラフ(脅し、ハッタリ)と言えなくもないが(笑)、これは相当に効いた可能性がある。

5.についてはこの記事をお読みの方でも、該当しない方の方が多いとは思うが、代わりにクチコミサイトでメガ云々(または該当するボリ事業者名)と言う会社のレンタカーでこういう被害に遭ったと投稿すると意思表示をすれば、相当なボッタクリ抑止力になる可能性はあると思う。

結果的に、「新しい損傷は確かに出来ていた、しかし今回は熟考の結果、特別に損傷無しとして処理し、クレジットカードへの課金も何ら行わない」という旨の回答をほどなくして得ることができた。

傷があったというのも恐らく彼らのハッタリだと思うのだが、筆者が報道関係者でもあり、いずれにしても深追いする獲物としては厄介で相手が悪いと判断したのだろう。

読者諸兄の皆様もレンタカーを借りる際、特に海外ではどうかくれぐれもお気を付け頂きたい。レンタカーを借りる際には、運転する前に傷などを十分にチェックし、出来れば日付入りで傷が付き易そうな場所の写真を何枚も念入りに撮っておくのが理想である。

また、借りる時と返す時にやり取りをボイスレコーダーやスマホの録音アプリで録音しておくのも証拠として有力である。「言った、言わない」が明らかに分かるからだ。

なお、同社からの回答に対しては、筆者からも今回の件の取り扱いと考慮に対する謝意を示しつつも、以下を返信のメールではっきりと主張しダメ押ししておいた:

  1. 彼らの主張する損傷は、筆者の運転によるものとは決して考えていないこと
  2. 今回借りたスズキ・スイフトは3万km以上の距離を走行しており、減価償却(depreciation)も既に終わったか、もうすぐ終わる資産だということ
  3. 今回問題とされたような損傷は軽微で、本来「通常使用による損耗や損傷(normal wear and tear)」として扱うべき(=レンタカーの顧客が責を負うべき損傷ではない)こと

それにしても、英語のクチコミサイトでも指摘されていたが、レンタカー斡旋サイトでは最安価格をちらつかせて顧客に利用させ、いったんクレジットカードの情報を入手するや、ほとんどの顧客が車両の傷などを運転前にあまり確認しないのを良いことに、返却後に軽微な傷に対して車両に掛かっているCDW(自車両損害補償制度)では免責範囲とばかりに何百ドル、何百ユーロという高額な請求を行うこの種の「ビジネスモデル」は、なんと悪質で阿漕なことだろうか。

以下、参考情報のまとめ:

スポンサーリンク